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写真で振り返る新作歌舞伎「日尾嶽山誉寒梅」

 11/18,19と歌舞伎・郷土芸能祭が開催されましたが、2日間にわたり演じられたのが、小鹿野歌舞伎保存会と小鹿野子ども歌舞伎合同による、オリジナル新作歌舞伎「日尾嶽山誉寒梅(ひおたけやまほまれのかんばい)」です。
 筆者も鑑賞させていただきましたが、感想をひとことで言うと、「すっごく良かった!」です。
最後まで観ていても、ずっとみどころがいっぱいで、笑いあり涙あり…、あっという間に時間が過ぎてしまいました。とにかく良い芝居でした。

 残念ながら見逃してしまった方もいらっしゃるかと思いますので、せめて様子だけでもと、ここで写真とともにお芝居を振り返ってみようと思います。

まず芝居の前には、このお話の作られた経緯やあらすじを、親切丁寧に解説していただきました。

逸見義綱が8年ぶりに我が子に出会うシーン
日尾城内での様子、なかなか凝った作りですね!

逸見義綱の進言により、日尾城主 諏訪部定勝が城の守りを固め戦の準備をするシーン。
定勝が狼煙(のろし)を揚げるよう命じたら、本当に煙が出てきました!

そこへ甲斐武田勢が「風林火山」の旗を掲げてやってきます!

実はこの5人衆のやり取りが、”チャリ場”になっていて、ひょうきんな演技ややり取りがお客様の笑いを招きました!
敵が来ているにもかかわらず、定勝は泥酔を装って寝てしまいます!
どれだけ起こしても全く起きない主人に変わり、妻のお牧の方が立ち上がる!
「えい! やー」と大立ち回り!お牧の方がとにかくかっこいい!
勇敢な小太郎、女衆の前に出て「子供や女御しか相手にできない腰抜けか!」と啖呵を切ると…

見かねた義綱、助太刀せんと姿を見せ、太刀に手をかければ、それだけで武田勢はたじたじし、一斉にどっと逃げ出してしまいました!

我が子、小太郎の勇敢さと利発さに義綱は小太郎を「日尾嶽山の雪中に咲く誉れの寒梅」と喩え褒めたたえます。

そこへ今更ながら、寝ていた定勝が登場し、実は義綱の忠義を試すべく、わざと寝たふりをしていたと明かします。

定勝と義綱、互いの気持ちが晴れて繋がり、固く心が結びあいました。めでたしめでたし!と思っていたら…

賢い小太郎は、自分は実は逸見義綱の子ではないかと勘づき、牧の方を問いただします。
定勝は、もはや義綱の疑心は晴れたので人質を取っている必要もないので、小太郎を義綱に返すことにするのです…

芝居、最後の見せ場、「子別れ」のシーン。赤子の頃から我が子同然に育ててきた小太郎との突然の別れ。
小太郎も、自分は諏訪部定勝の息子と育てられてきたので、始めは嫌がります。

が、逸見道場へ武者修行に行くということで小太郎は観念し…
涙の別れ。迫真の演技のおふたりでした。

芝居ラストは、小太郎が泣きながら花道を走って退場し、幕となります。

最後に出演者全員の方の紹介がありました。裏方さんを含め総勢40名以上の方がこのお芝居に関わっていらっしゃるとのことでした。
それにしても舞台後ろに描かれた手描きの幕、
日尾城がいかに天然の要害に在ったかがよくわかる、荘厳で美しい舞台絵でした!素晴らしい!

「日尾嶽山誉寒梅」の作者である高田哲郎氏も登場していただき、ご挨拶をいただきました。
 地元に伝わる説話や、歴史、特徴をふんだんに混ぜ込んだお話を作っていただき、心から感謝いたします。

 おしまいに、今回の「日尾嶽山誉寒梅」の芝居は13年ぶりに上演とのことでした。
小鹿野歌舞伎保存会の堀口会長は『2度目の再演に際し、1度目の時よりもさらにパワーアップして皆様に楽しんでいただくように、改良や工夫をしながら稽古をしてきました。』とおっしゃっていました。
今回、筆者は初めての鑑賞でしたが、個人的に「日尾嶽山誉寒梅」は小鹿野歌舞伎の十八番になってほしい、なるべき作品だと確信しています。
あらためて、高田哲郎先生はじめ、作品に関わられたたくさんの方々、小鹿野歌舞伎保存会の皆さんとその先人の皆様に、心より敬意を表したいと思います。

ありがとうございました。

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