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コラム「小鹿野歌舞伎手習い始め」其の一『贔屓』

小鹿野歌舞伎 小鹿野 おがの コラム 手習い始め

秋の小鹿野歌舞伎観劇シーズンが本格的に始めまる前に、予備知識を兼ねて小鹿野歌舞伎が大好きな”東西さん”のコラムの連載スタートです。

東西さんの豆知識は、歌舞伎そのものだけでなく、小鹿野歌舞伎ならではのエピソードや歴史などを深く掘り下げたお話。

小鹿野歌舞伎をより楽しんでいただけること間違いなしです!

コラムは全10回、毎週金曜日の更新です! ぜひお楽しみください。

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其の一「贔屓(ひいき)」
「贔屓」読めましたか?

大昔は貝をコイン代わりに使ったというから、貝がいっぱい書いてあって景気の良さそうな漢字ですね。

小鹿野町でも「小鹿野歌舞伎さん江 贔屓与利」と染めた幟を立てますと

「何と書いてあるん?(秩父弁)」とよく聞かれます。

長留の宗吾神社舞殿(町指定文化財)の幕にもひらがなですが横書きで「きゐひ」と

これまた昔ふうに書いてあるものですから読めないんですよね。

これほど「贔屓」という言葉は縁遠いものになっちゃったかというと、

「贔屓目に見る」「贔屓の引き倒し」という言葉はご存じと思います。

「贔屓」とは気に入った役者に特別に目をかけ後援すること、また後援者のことをいいます。

今ではファン・追っかけ・パトロン(ちょっと古い)でしょうか。野暮なことは言いっこなし。
大歌舞伎では「御贔屓筋」というと江戸時代から根強いものがあり、

古くは観劇中に役者の褒め言葉をつらねる風もあったといいますし、

芝居小屋前に幟を立て、進物を積み、名入りの引き幕を贈り、襲名披露の時なども多額の御祝儀を贈るという

なかなかの「お大尽」でなければ務まらないとうイメージがあります。

役者にとって贔屓の有無は自分の芸や狂言の成否に関わるだけに贔屓を大切にし、その評に耳を傾け、

節目ごとに丁重に挨拶して一層の引き立てを願う習わしがあります。

近代演劇からは贔屓が後援会に変わり、機関誌を出すなど合理的に役者を支援するようになっています。
歌舞伎の世界では伝統的に仲間うちでしか通用しない言葉がたくさん使われています。
これを難しいとか言う向きもありましょうが、それが粋っていうもの、

言葉も先祖から伝えられた文化財と柔軟にお考えください。

この欄でわかりやすく親しみやすく解説しますので、

皆様にはここで歌舞伎の手習いを初めていただくようご案内いたします。

皆々様におかれましても、このコラムが小鹿野歌舞伎への大きな贔屓と捉えていただき、

様々なお声やご意見をお寄せくださり、末永くご「贔屓」お引き立てくださいますよう、

ひとえにおん願いあ~げ奉ります~。
(東西)

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