十六歌舞伎若連、11年ぶりの再演「夕顔棚」

小鹿野歌舞伎が観られる1年で最初の地芝居が、日本武神社例大祭で奉納されるお芝居です。
十六若連奉納歌舞伎は、明治時代から昭和初期まで約50年間続いた「大和座」というかつての芝居一座の流れを汲んでいます。
今年の奉納歌舞伎では、「絵本太功記十段目 尼ヶ崎閑居之場」につづく「夕顔棚」という冒頭部分が11年ぶりに演じられました。

通常の「絵本太功記尼ヶ崎閑居之場」では、武智光秀の息子の十次郎が許婚の初菊と祝言をするところから始まるのですが、今回の十六若連では、真柴久吉が旅僧の姿でこの尼ヶ崎の庵に宿を乞いに来るところが演じられました。

大歌舞伎では省略されることの多い大変珍しい冒頭部分ですが、夕顔棚の段では久吉が庵に訪ねてくるところだけではなく、実は光秀の母のさつきが、あえて真柴久吉の身代わりになったということを表していたところでもありました。
大歌舞伎では省略されることの多い大変珍しい冒頭部分ですが、それを小鹿野歌舞伎では演じることができるということ自体、とても素晴らしいことだと思いました。
また十六若連歌舞伎といえば、祭りの安全を祈り舞台を清めるための「三番叟」が、通常1人のところ、2人で演じられるのが特徴です。今年は地元の中学2年生の女の子がその大役を務めていました。

続いて十次郎と初菊のお2人。こちらの役者さんもとても若くて初々しさに溢れており、本物の十次郎と初菊のようでした。


武智光秀役の方は、普段は女形を演じられることの多い役者さんでした。その為いつもの女形と違い、張りのある力強いお姿を観ることができ、とても貴重な機会をいただきました。


お祭り当日は冷たい風の吹く日でしたが、今年は焼き鳥やさん、おむすび屋さん、子供たちのための「かたぬき」、カフェなどの出店もあり、コロナ渦の5年間の休演を余儀なくされたお祭りも、少しずつ賑やかさを取り戻しつつあるようでした。
わざわざ遠くからお越しになっている往年の小鹿野歌舞伎ファンもいらっしゃり、多くのギャラリーの方が十六若連の皆さんの熱演も見守っていらっしゃいました。

