1. HOME
  2. ブログ
  3. 【あらすじ】新作歌舞伎「日尾嶽山誉寒梅」(ひおたけやま ほまれのかんばい)

【あらすじ】新作歌舞伎「日尾嶽山誉寒梅」(ひおたけやま ほまれのかんばい)

小鹿野歌舞伎、歌舞伎、かぶき、OGANO,oganokabuki,kabuki.地芝居、日尾城

 2023年11月18・19日に開催される「小鹿野町 歌舞伎・郷土芸能祭」
今年は、小鹿野歌舞伎保存会発足50年という大きな節目の年でもあることから、小鹿野歌舞伎オリジナルの新作歌舞伎、「日尾嶽山誉寒梅」が上演されることとなりました。

「日尾嶽山誉寒梅」は、郷土の史実をもとに小鹿野町在住の作家、高田哲郎氏により作られた小鹿野歌舞伎のための新作歌舞伎です。

初めてご鑑賞の方もいらっしゃるかと思いますので、ここであらすじを前もって紹介させていただきます。

●初演:平成22年11月20・21日 小鹿野歌舞伎保存会

●作:高田哲郎

●主な登場人物:

・諏訪部遠江守定勝(すわべとおとおみのかみさだかつ)
 物語の舞台である日尾城の城主。小田原北条氏、鉢形城(寄居町)城主である北条氏邦の家臣。日尾城は鉢形城の支城である。

・逸見若狭守義綱(へんみわかさのかみよしつな)
 もとは甲斐の国、武田信虎の家臣であったが心が合わず、現在の小鹿野町両神薄小沢口に移り住んだ。その子孫はのちに剣術を極め「甲源一刀流」を開くが、この作品の中ではすでに道場を開いていることになっている。

・小太郎(子役) 
 逸見若狭守義綱の実の子。定勝への忠誠の証しとして、義綱により人質として定勝に預けられていた。 

・お牧
 日尾城城主、定勝の妻。我が子を亡くしていたため、小太郎を我が子の身代わりのように育てていた。

・山崎五郎兵衛
 甲斐の国 武田勢の密使。義綱に日尾城を攻める手引きをするようけしかける。

 

第一幕「日尾城対面之場」

 舞台は、戦国時代。甲斐武田氏と争う小田原北条氏が武蔵国鉢形城の出城として秩父郡内日尾に設けた「日尾城」。城の東には地元で「嶽山(たけやま)」とよぶ険しい山がそびえている。

 日尾城を預かる城主は小田原の信任厚い諏訪部遠江守定勝(すわべとおとおみのかみさだかつ)。
冬のある日、定勝を訪ねて逸見若狭守義綱(へんみわかさのかみよしつな)が日尾城にやってくる。
そこへ城から飛び出してきた小太郎と出会う。実は小太郎は、義綱が八年前、忠誠の証しに人質として定勝に預けた子であった。

 義綱はもと武田の家臣であったが、武田の侵略の野望を諌めたため疎まれ秩父に逃れ、薄村の小沢口で甲源一刀流の剣術道場を開いていた。義綱は昨夜、武田側の密使山崎五郎兵衛(やまざきごろべえ)から日尾城を攻める手引きをするように頼まれたのであったが、身を挺して武田の攻略を阻止しようと火急の知らせを定勝に伝えに来たのであった。定勝は、知らせに礼を告げ、城の守りを固める。

第二幕「梅香る日尾城門前の場」

(第一場小太郎勇みの場)

 義綱の動きを不審に思った山崎五郎兵衛は、日尾城近くまで家来を引き連れてやって来て小太郎と出くわす。小太郎は山崎を挑発し、館に駆け込んで敵の襲来を知らせるが、定勝は面会していた義綱の前で、酒が過ぎたと言い寝てしまう。
そこで夫人の牧の方が長刀を構え采配を振り、義綱の助太刀を得て山崎の兵を追い払った。
義綱は成長した小太郎の義勇を「日尾嶽山の雪中に咲く誉の寒梅」と褒め称える。

(第二場小太郎別れの場)

 定勝は、事の成り行きを見届け起き上がり、義綱に寝首を掻いて武田に差し出すこともできたはずと告げる。定勝は敵が攻めて来た時にわざと寝た振りをして義綱を試すべく身を以って賭けに出たのであった。定勝と義綱は互いの信義を確かめ合い、固く手を結ぶ。

 定勝は人質として育てた小太郎に愛着があったが、義綱のもとに戻すことを決意する。牧の方も自分の子を亡くしたばかりで小太郎を我が子の生まれ変わりと可愛がって育ててきたが仕方がないものと悟り、小太郎を見送るのであった。

*ご鑑賞によせて*

 「日尾嶽山誉寒梅」は、秩父地域の歌舞伎伝承を幅広く受け継ぐ小鹿野歌舞伎保存会が取り組む初の新作歌舞伎でした。平成17年に地域に題材をとった小鹿野独自の歌舞伎台本の創作を高田哲郎氏に依頼し、平成21年に4年がかりで二幕三場の上演台本が仕上げられました。当時の小鹿野歌舞伎保存会、井上哲男師匠がセリフの言い回しと振り付け、柴崎宇平太夫が義太夫弾き語りの節回し・作曲などの作業が行われました。
小鹿野歌舞伎保存会の役者たちにとっては、先人が作った型が無いため、これまでに経験してきた様々な役の応用で取り組んでこられました。自分たちが郷土の伝説を初めて演じ、初代の型を作り上げるという意気込みと小鹿野にしかない新しい歌舞伎誕生の喜びをひしひしと感じることのできる作品です。

●作者紹介 高田哲郎(たかだ てつお)

 昭和10年(1935)両神村生まれ。国学院大学文学部卒業、小鹿野町の中学校を退職後、東京経済大学非常勤講師をつとめる。また、中国の山村の子ども達に学校を贈る運動を主催するかたわら、秩父方言の集録と研究を続ける。平成15年(2003)10月より始められたJAちちぶ有線放送「シリーズ秩父の方言」の講師・語り手をつとめる。

著書『秩父の女衆』『秩父の婆衆(ばあさま)』『あちゃむしだんべぇ物語パート1・2・3・4。5-シリーズ・秩父の方言』など多数。


*あらすじ引用:平成22年11月20・21日 小鹿野町 歌舞伎・郷土芸能祭パンフレットより

関連記事